
獣医師になりたくて、いぜ獣医大学を調べると17個もあります。
受験をする時に相談をするのは、高校の先生や塾の先生ではないでしょうか?
しかし、先生たちは教育や受験のプロであって、獣医大学の実情はわかりません。
どの大学に行ったらいいかは、高校でも教えてくれませんし、わからないので教えることができないのです。
私も受験した時がそうでした。
「獣医師になればどこの大学でも同じ」と獣医師でない先生から言われたものです。
そこで、今回は獣医大学を受験して、在学中他の獣医大学生徒交流をして、実際に獣医師として働き出して得た、獣医大学の選び方をまとめました。
学生にとって、獣医大学の選択は人生を変える大きな転換です。
自分の目的にあった獣医大学を選んで、卒業後に理想の獣医師になれるようにしましょう。
獣医大学は実際は、どこでも同じというわけではなく、将来に大きな影響を与えます。
もちろん努力次第では、どの獣医大学でも問題はありませんが、
獣医大学は狭い環境のため、合わない環境にいるとうつ病になったり、腐ってしまったり、閉塞感を感じることになります。
こんな方におすすめ
- どの獣医大学を選んだらいいかわからない
- 獣医大学を選ぶ基準が知りたい
- 受験する獣医大学を選びたい
- 入学する獣医大学によって将来が変わるの?違いはあるの?
ということがわかるので、ぜひ最後までお読みください。
私は、現在は獣医師として、主に整形外科手術を担当にして、働いています。
以前は東京大学で勤務し、学会でもアワード賞をいただきました。
その際に勉強になったおすすめの教科書をご紹介します。
詳しくは、『プロフィールや獣医師そらんの手術歴』をお読みください。
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管理者のプロフィール
こんにちは、獣医師そらあんです。 この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。 今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭 ...
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現役臨床獣医師がおすすめする獣医大学の選び方、獣医大学はどこでも同じ?どこがいい?選択方法
全国の獣医大学:受験できる獣医大学、獣医師になるには
獣医学部がある大学は全部で17校で、そのうち11校が国公立大学です。
国立大学 10大学
- 北海道大学
- 帯広畜産大学
- 岩手大学
- 東京大学
- 東京農工大学
- 岐阜大学
- 鳥取大学
- 山口大学
- 宮崎大学
- 鹿児島大学
公立大学 1大学
- 大阪府立大学
私立大学は2018年度から岡山理科大学を加えて6大学です。
- 酪農学園大学 (北海道)
- 北里大学 (青森)
- 日本大学 (神奈川)
- 日本獣医生命大学(東京)
- 麻布大学 (神奈川)
- 岡山理科大学 (愛媛)
受験する獣医大学の選び方、選択方法
一人暮らしの費用で選ぶ
日本学生支援機構JASSO調べの「平成30年度学生生活調査」によると、昼の部の大学生の生活費平均は、月約9.2万円です。
これは、アパート・マンション・下宿先で一人暮らしした場合の生活費です。大学区分による生活費の内訳を紹介します。
国立 | |
---|---|
家賃・光熱費 | 42,300円 |
食費 | 24,900円 |
医療保険 | 3,100円 |
娯楽費 | 12,550円 |
その他日常費 | 13,200円 |
合計 | 96,050円 |
※上記はすべて、おおよその金額です
あくまでも全国平均なので、物価が高い都心部では生活費がプラス3~5万円ほどかかります。
東京都内で一人暮らししている大学生の生活費は約13.5万円
東京都内で一人暮らしをする現役大学生100人に「1ヶ月の生活費はどのくらいか」アンケートをとった結果、学費を除く生活費は月約13.5万円でした。
以下は、アンケート結果の生活費の内訳です。
家賃 | 約45,000円 |
---|---|
食費 | 約27,000円 |
水道光熱費 | 約8,000円 |
娯楽費(サークル費込) | 約30,000円 |
スマホ・ネット代 | 約8,000円 |
その他購入費(衣類・日用品) | 約12,000円 |
交通費 | 約5,000円 |
合計 | 約135,000円 |
物価が高い分、家賃・食費がやや高めです。また、都内はすぐに繁華街に移動できるため、サークルでの集まりが活発になります。
娯楽費が地方よりも高めです。
光熱費やスマホ代、その他日常品代は全国平均とほぼ同じです。
一人暮らしと実家暮らしの生活費比較
私立大学に通っている一人暮らしと実家暮らしの生活費を比較したところ、月約5.1万円も差が出ます。年間だと約61万円も違います。
一人暮らし | 実家暮らし | |
---|---|---|
家賃・光熱費 | 37,000円 | 0円 |
食費 | 21,400円 | 8,700円 |
医療保険 | 3,200円 | 3,300円 |
娯楽費 | 12,900円 | 12,700円 |
その他日常費 | 13,100円 | 11,700円 |
合計 | 87,600円 | 36,400円 |
実家暮らしの場合、家賃・光熱費・食費は親がまとめて支払うので、費用が掛からないことが多いです。
家にお金を入れる場合でも、家賃・光熱費・食費のトータルで月1~3万円ほどで済みます。
実家から大学に通える距離であれば、将来の為の貯金や娯楽費のために一人暮らしは控えたほうが良さそうです。
勉強しやすい環境で選ぶ
私自身は、地方の国立大学でした。
勉強のしやすさ、意識レベルの向上、周りからの刺激という意味では圧倒的に関東の獣医大学をお勧めします。
近くでセミナーや学会もあり、大学の動物病院の診察数も多く、教科書を書いている先生も多いです。
反面、サボる理由、遊んでしまう誘惑も多いですが、勉強熱心な獣医学生から刺激を受けることもしばしばで、
地方でずっといると井の中の蛙になってしまうことがあります。
学びたいことで選ぶ
牛や豚などの大動物を目指す場合は、北海道大学、鳥取大学や鹿児島大学が有名ですし、
小動物臨床、いわゆる動物のお医者さんであれば私立大学や、東京大学、大阪府立大学が有名です。
野生動物について詳しく学びたい方は岐阜大学が検討に入ります。
獣医学部は国家試験があるため学ぶ科目は国立でも私立でも変わりません。
なので一定ラインの知識や技術はどこでも身につけることができます。
ただ。やはり私立では研究室でバリバリ研究する人は少なめで、卒業生も臨床や公務員に行く人が多い印象です。
研究がやりたい人は研究室にもよりますが、国立大の方が環境は整っていると思います。
獣医の友達を多く作りたい!
国公立大学の定員が40名程度なのに対し、私立大学は定員が100名以上なので、国公立大学に比べればかなり多いです。
また、関東の私立大学は盛り上がる人が多いイメージです。
人数の規模が違うのも雰囲気が変わる大きな要因かもしれません。
国立大が学年全員のことがわかるのは当然、先輩、後輩も大体見ればなんとなく知っているという状態です。
学部のイベントなどに力を入れているところも多くまとまりがあります。
逆に言えば世間が狭く窮屈かもしれません。
逆に私立大学は1学年100名以上で同学年の人は大体覚えてきますが、印象がない人もいるといった感じで、割と決まったグループでつるむ大学生らしい雰囲気を持っています。
もちろん仲良くなる工夫をしている大学もあり、日大などでは新入生から3年生くらいまでが、縦割り班のようなグループに分けられていて、そこで親睦会などをよく行っているそうです。
楽しそうですね。
大学の授業料で選ぶ
ただし私立大学の学費はもちろん高く、国立大学が年間約53万円なのに対し、私立大学ではどこも200万円以上と4倍ほどになります。
カリキュラムで選ぶ
全国で17大学ある獣医系大学ですが、その大学によって特色があります。
まずは国公立大学か私立大学かで大きく雰囲気が変わります。
そして国立大学によってもどの研究が強い、といった特色や共同課程によってどういった実習ができるのか、などといった細かいカリキュラムは異なります。
ぜひ自分に合った大学を選んでください。
大学の雰囲気で選ぶ
学生の雰囲気も違って、私大の学生の方が大学生らしい華やかな印象があるのは間違いないような気がします。
国立大の学生はそれを見て「やっぱ私大はうちらと違っておしゃれだね~笑」と皮肉っぽく言うことで自我を保とうとしてます。
逆に私大は「やっぱ国立は真面目だね~尊敬しますわ」とかへりくだるフリをしつつ、地味学生をいじめてきます。
北海道大学
北海道大学獣医学部を舞台にした漫画「動物のお医者さん」で人気に火がついたことは有名です。獣医系大学の中ではそのブランド力や札幌の中心にある、という恵まれた立地から最も人気な大学と言えるでしょう。学部入試を実施しない東大を除くと、唯一の旧帝国大学です。研究に力を入れているイメージも強く、研究者になりたい人が多いのも特徴です。
東京農工大学
やはり首都圏にある大学は根強い人気で、東京農工大学は毎年かなり倍率が高いです。世間的には「東京農業大学?」とか言われちゃいますが、獣医志望者の中では高い知名度があります。府中キャンパスは農学部のキャンパスで、東京にありながら静かな住環境と競馬場への良好なアクセスを得ることができます!立地的にアクセスや情報量の面で、就活には強いイメージがあります。
東京大学
東大は学部入試ではないので番外にしましたが、獣医学部の偏差値で言えばぶっちぎりで一位です。一般的には理科2類から30人程度が獣医学部に進学すると言われます。入ってからの成績で行ける学部が決まるので大変そうですね。ちなみに北海道大学でも総合理系から5名だけ獣医学部に行けるそうです。
共同課程で選ぶ
獣医系大学では「共同課程」という取り組みがトレンドです。
これは2大学ずつペアを組み、お互いが得意なところを補い合って教育を行うというもので、
例えば犬猫の臨床が強い北海道大学と牛や馬が強い帯広畜産大学が協力するというようなものです。
国立大学はどこかしらペアとなる大学があります。
呼び方は共同獣医学科や共同獣医学課程、大学協定など様々です。
1.北海道大&帯広畜産大学
2.岩手大学&東京農工大学
3.岐阜大学&鳥取大学
4.山口大学&鹿児島大学
5.東京大学&宮崎大学
6.大阪府立大学&宮崎大学
2大学間を学生が移動して実習したり、先生が移動や通信を使って授業をしたりしています。
特に北海道大学と帯広畜産大学のペアと、山口大学と鹿児島大学のペアはこの取り組をリードする課程で、
ヨーロッパでも通用する教育認証をとることを目指し、国際水準を満たす教育環境を整備しています。
詳しくは「獣医学部、国際認証」などと検索してみるとわかると思います。
獣医師国家試験の合格率で選ぶ
合格率で選ぶ場合は、ほとんど差はありません。
私立のいいところの1つは国家試験の対策が充実しているこです。
6年生になると国試対策の授業がかなり組まれている大学もあります。
対して国立では大体が学生の自主性に任せられています。
なので国試の合格率だけ見ると、私立大で合格率が高く、北海道大学が最下位、といった年度もあります。
国公立の獣医学科は募集人数が40名程度とかなり少なく、倍率はどこも高いです。
そして学ぶ科目は基本的には共通していますが、特色や力を入れている分野、大学の規模などはかなり異なります。
獣医学部ならどこでもいい!とならずにHPなどを見てしっかり選びましょう!
学生としての所感では大学間で学生の雰囲気が大きく変わることはないような気がします。
とは言え、獣医は医学部のように出身大学による派閥もなく 、
どこの大学を出ても獣医さんとしてやっていく分には関係ない、というのが多くの人の見解です。
狭い世界ですので、大学関係なくみんなで獣医業界を盛り上げていきましょう。
あなたの入学をお待ちしております。
本ブログでは、詳しく知りたい飼い主、獣医学生、進路や勉強に悩んでいる獣医師向けに、
出来る限り詳細に書いていますので、ぜひ他の記事もお読み下さい。
参考になれば嬉しいです。ここまでお読みいただきありがとうございました。