獣医学

獣医師の収入・月収・支出について

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獣医師の収入・月収・支出について

はじめに

獣医師は、動物の健康を守る専門職であり、その職場や経験年数によって収入や支出に大きな違いがあります。本記事では、一般的な動物病院と大学病院に勤務する獣医師の収入や月収、支出について詳しく解説します。また、新人からベテランまでのキャリアステージごとの収入の変化や、生活費の実情についても掘り下げていきます。

 

獣医師のキャリアと収入の関係

新人(1年目)の収入

獣医師1年目の収入は、一般的に以下の通りです。

一般動物病院の場合

  • 年収:約300〜400万円
  • 月収:約20〜25万円(手取り:約18〜22万円)

新人獣医師の給与は地域や病院の規模によって差がありますが、初年度は比較的低めに設定されていることが一般的です。特に地方の小規模な動物病院では、給与水準がさらに低い場合もあります。

大学病院の場合

  • 年収:約300〜350万円
  • 月収:約20〜23万円(手取り:約17〜20万円)

大学病院に勤務する場合、給与は一般病院と大きく変わりません。ただし、大学病院では研究や教育活動も求められるため、収入以上に業務の負担が大きいことが特徴です。

業務内容

新人時代は、以下のような業務が中心となります。

  • 健康診断やワクチン接種の補助
  • 簡単な診療や手術補助
  • 飼い主とのコミュニケーションスキル向上

中堅(5〜10年目)の収入

獣医師としての経験を積むと、収入は徐々に上昇します。

一般動物病院の場合

  • 年収:約450〜600万円
  • 月収:約30〜40万円(手取り:約25〜33万円)

中堅層になると、診療技術が向上し、リーダー的役割を担うことが増えます。これに伴い、給与も上昇する傾向があります。また、勤務先によっては成果報酬が加算されることもあります。

大学病院の場合

  • 年収:約400〜500万円
  • 月収:約28〜35万円(手取り:約23〜30万円)

大学病院では、臨床以外の研究や教育活動への貢献度が給与に影響を与える場合があります。論文の発表や学会での活動が評価されると昇給の可能性があります。

業務内容

中堅層では、以下の業務が加わります。

  • 手術の主導
  • 新人指導
  • 難症例の診療

ベテラン(15年目以上)の収入

キャリアを積み重ねた獣医師の収入はさらに安定し、場合によっては大幅に増加します。

一般動物病院の場合

  • 年収:約700〜1000万円
  • 月収:約50〜70万円(手取り:約40〜60万円)

自ら病院を開業する場合、収入はさらに大きく変動します。成功した開業獣医師は年収1000万円を超えることもありますが、一方で経営リスクを負うため、収入が安定しない場合もあります。

大学病院の場合

  • 年収:約500〜800万円
  • 月収:約35〜55万円(手取り:約28〜45万円)

大学病院では教授や准教授などの役職に就くことで収入が上がります。ただし、研究費や学会参加費など、収入以外に求められる負担も増える点に注意が必要です。

業務内容

ベテラン層では、以下の業務が中心となります。

  • 病院経営や管理
  • 学会での発表
  • 難症例のコンサルティング

地域差による収入と生活費の違い

都市部

  • 収入:地方より若干高めの傾向がある(+10〜15%)。
  • 生活費:家賃や交通費が高く、支出も多い。

地方

  • 収入:都市部より低めだが、生活費が抑えられる。
  • メリット:生活費が安いため、手取り収入を効率的に使える。

獣医師の支出

一般的な支出項目

獣医師の支出は、収入の中から生活費や仕事関連の経費が差し引かれます。

奨学金返済

  • 返済額:月2〜5万円。
  • 期間:10〜20年。

生活費

  • 家賃:地方の場合は5〜8万円、都市部では10〜15万円が一般的。
  • 食費:月3〜5万円程度。
  • 交通費:通勤に必要な場合、月1〜3万円。
  • 光熱費:月1〜2万円程度。
  • 通信費:スマホ代やインターネット代で月1万円程度。

仕事関連の支出

  • 学会参加費:1回あたり1〜3万円(旅費や宿泊費を含むとさらに増加)。
  • 書籍・資料代:月5千円〜1万円。
  • ライセンス更新費用:資格維持に必要な費用。
  • 研究費:大学勤務の場合、研究活動に自己負担が発生することがある。

開業のリスクとリターン

開業のメリット

  • 収入増加:成功すれば年収1000万円以上が期待できる。
  • 自己裁量:勤務時間や診療方針を自由に決定できる。

リスク

  • 初期費用:設備投資に数千万円が必要。
  • 経営の不安定さ:患者数が収入を直接左右する。
  • 地域需要:開業場所の選定が重要。

福利厚生と勤務環境

一般病院

  • 研修制度:提供されることが多い。
  • 休暇:有給取得が難しい場合あり。

大学病院

  • 福利厚生:比較的充実している。
  • 研究資金:外部からの助成金を得る必要がある。

海外との比較

給与

  • 日本は海外(アメリカやヨーロッパ)に比べて給与が低い傾向。

働き方

  • 海外では短時間勤務や専門分野への特化が一般的。

まとめ

獣医師の収入や支出は、勤務先やキャリアステージ、地域によって大きく異なります。新人時代は収入が低く、支出が多く感じられるかもしれませんが、経験を積むことで徐々に安定し、収入も増加します。また、開業や専門資格の取得などによって、さらなる収入アップを目指すことも可能です。

本記事が、獣医師を目指す方や現役の獣医師の方々にとって役立つ情報となれば幸いです。

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