雑記

現役臨床獣医師が解説!獣医師が研修医で大学病院で働くメリット、デメリット

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獣医学生で動物病院に就職を考えている。

どんな動物病院がいいの?

就職は大学病院の方がいいの?

新卒で就職した方がいい病院ってあるの?

どうやって、一つ目の病院を決めればいいの?

何を基準に、新卒で病院を決めればいいの?

 

また、

動物病院で勤務しているけどこのままでは不安。

転職したいけどどこの病院がいいかわからない。

大きい病院で勉強したい。

自分のやり方が正しいのか気になる。

 

このように新卒でも既卒でも、就活中でも病院の選び方には苦労してるのではないでしょうか?

病院を決めるのは、獣医人生を左右すると言っても過言ではないです。

しかし、明確な選び方はないので悩みますよね?

 

本記事では実際に、東京大学外科研修医を経験した私が大学病院勤務のメリット、デメリットを紹介します。

下記のポイントを重要視する場合、価値を感じる場合、期待したい場合、求めるポイントである場合は、大学病院をおすすめします。

本記事では、新卒獣医師が悩むであろう動物病院の選択や新たに勉強したい、転職したい既卒の獣医師に向けて、大学病院を選ぶメリットを解説します。

また、私が、就職活動をするときに必要だった情報をまとめました。

大学病院を検討する一つの参考になればいいと思います。

現役臨床獣医師が解説!大学病院研修医のメリット、デメリット!

大学病院研修医とは

大学病院に付属する動物病院で、診察や治療をこなす獣医師です。

通常は教授、特任助教とマンツーマンで勤務するため、直接手術したり、治療方針を決定することはありません。

あくまで、先生と一緒に動いて、治療の決め方や、技術を学ぶというスタンスです。

多くの大学で、外科、内科などの専科コースか、全般コース(いろんな科を回る)が募集されており、一度に8人程度募集されています。

実際の業務

簡単にまとめると、

診察は

簡単な流れ

  • 初診の飼い主との問診
  • 病気を疑い検査内容を考える
  • 担当の教授や特任助教の先生とディスカッション
  • どう言った検査が必要なのか、血液検査の内容、レントゲンの部位など、そしてその理由
  • 起きたままできる検査(血液検査、レントゲン検査、超音波検査、関節液検査、尿検査、細胞診、便検査、など)
  • 飼い主にいったん説明(担当教授から) 研修医は横で説明を聞く
  • 必要であればCT、MRI検査  研修医が麻酔の同意書を取る
  • 結果が出れば再度説明
  • 診察後に、他の研修医、先生と検討会(その日の各自の初診を発表)
  • 入院して手術や抗癌剤、治療
  • 手術の準備、薬の準備、手術の助手、術後管理、退院
  • 検診

と言った感じです。

つまり、やろうと思えば自分で考えることは少ないです。

先生とのディスカッションでどれだけ考えることができるか、病気をどれくらい疑える練習をするか、検査内容を考えるかによって変わってきます。

サボろうと思えばいくらでも手抜きできますし、逆に勉強しようと思えばこれほどいい環境はありません。

こういった生活の中で、大学病院で研修医として働いてよかったこと、悪かったこと、メリット・デメリットをまとめました。

獣医師が研修医として動物病院で働くメリット

診察数

新卒に限らず、獣医師として大事なことは、いろんな病気を数多く経験することです。

つまり、同じ病気でも、典型的なものから、非典型的なものまで様々なので、診察の数がなにより大事です。

診察数等点において、大学病院は一定以上の診察が期待できます。

この数の経験は、どこの病院でもできるわけではありません。

自分の財産となります。

新卒の頃に数多くの診察、病気を経験することは、

今後見逃しも少なくなりますし

これ、以前経験したやつだ!となります。

診察の質

大学病院は鋭利目的ではないため、1件1件の診察に時間をかけてしっかり学ぶことができます。

一般の個人病院では、多いところでは1日100件以上診察することも珍しくはありませんが、大学病院ではそんなことはありません。

しかし、診察数が多い時もあるので、ゆっくりできるというわけではありません。

あくまでも1件1件に時間をかけて、じっくり勉強できるということです。

さらに大学病院では予防医療はありませんので、腫瘍などの重い病気について、じっくり勉強できます。

同期

大学病院では、新卒を同時に何人も雇うことは稀です。

しかし、大学病院では同時に8人程度雇うこともあるので、

新卒、既卒であっても、同期が多いです。

そうなると、互いに切磋琢磨して、刺激しあったり、悩みを告白したりできます。

私が友達からよく聞くのは、一般の病院で新卒一人で入ると、閉塞感が強く、

悩みも相談できないので辞める人も多いのだとか。

意識が高い環境、人が周りにいると、非常に刺激になります。

さらに、大学病院の研修医は新卒だけでなく、一度一般脳病院で勤務後に、再度勉強したい獣医師も

同期として入ってきます。

モチベーションが高いだけでなく、個人の小動物病院を経由している人も混ざりますので、いい刺激になります。

勉強

同じ病院で、内科、外科、麻酔、病理などの専門の獣医から教えてもらえる、

またディスカッションができるのは非常に恵まれています。

通常の動物病院ではやはり、院長や一人の先生の意向に添うことが多いですが、

大学病院では多くの先生がいるので、いろんな先生のやり方を近くで目の当たりにできます。

また、診察後に検討会があるので、自分が携われなかった診察も、その経緯と治療方針も勉強できますし、

短い時間で診察の経過をまとめる練習にもなります。

 

また、多くの病院ではできない輸血をすることもあります。

輸血犬がいる病院は大学病院以外では稀なので、そういった経験も可能です。

外科の研修医として入っても、内科に参加することも可能です。

実際に私は友達と、外科の診察が終わった後、エコーの練習をしましたし、わからないところは内科の先生に聞いたりして、

外科では触れる機会の少ない超音波検査を練習していました。

また、診察中の細胞診も、病理の専門の先生に腫瘍の特徴を詳しく教えてもらえるのでそれも非常に勉強になります。

 

そして、2次病院という特性上、必ず何らかの診断は下します。

一般の病院では、何かはまだ不明だけど、という病名がわからなかったり、病気の診断に専門的な検査が必要で、仮診断までしかできない状態で

モヤモヤした不安な状態で治療を始めることもしばしばです。

ですが、大学病院では、飼い主も診断をして欲しくて来院しているので、検査にも積極的ですし、こちらも必ず異常を見つけなければいけないという覚悟で行っています。

手術記録やカルテ記載

SOAPにのっとって、

問題リスト、問診、検査結果、治療方針の入力を行います。

カルテの入力は当然ですが、それを担当教員に提出して間違っているところは訂正をもらえます。

通常の動物病院ではそこまでされません。

正しいカルテの書き方も学ぶことができます。

手術記録も同様です。

一般の動物病院では、手術記録を書いても簡単な術名や手術記録を書くことさえありません。

しかし、大学病院では、どういう体位で保定、アプローチ方法

どういう血管、筋肉を剥離したなど事細かに書く必要があります。

手術記録も、担当教員のチェックが入りますので、さらに学習することができます。

初めは、直されることも多いですが、徐々に少なくなっていき、書くべきことがわかってきます。

発表の経験

大学病院では、内部向けの学生や研修医が発表する機会や、外部向けの学会や大学主催のセミナーに発表することが義務づけられることが多いです。

これらの発表の機会が、無理やりにでも作られるので、スライドの作り方や発表の練習も可能ですし、

他の人の発表を聞いているだけでも勉強になります。

東京大学では、2年間のうちに、学会で1回以上発表、VMCセミナーという対外向けのセミナー発表、

病院のスタッフに向けての論文紹介、症例紹介発表の機会があります。

また、研究も行われているので、それに携われたりすることもあります。

完全紹介の2次病院ですので、紹介先への連絡などの社会的なことも学ぶことができます。

そして、大学の先生が主催する外部のセミナーに無料や安くで参加したり、

新しい教科書も著者割で安く購入させてもらうことも可能です。

 

論文、教科書が豊富

数多くの教科書が、大学にはあります。

また、論文を読むためには、数多くの雑誌と契約しなければなりません。

そのためには、多額の費用がかかります。

しかし、大学病院のネット経由だと、ほとんどが無料で閲覧できます。

 

設備

近年は、CT検査やMRI検査が動物でも当たり前になってきています。

病気の診断に当たり、検査機器がないことで、そこで検査や診断、治療が止まってしまう、諦めてしまうのは非常に歯痒い思いをします。

その点、大学病院では、良い超音波検査、関節鏡検査、内視鏡検査、CT検査、MRI検査があります。

そして飼い主も、大学まで来ているので、費用や麻酔の問題で断ることも少ないので、検査を受け入れてさせてもらえることが多いです。

そのため、検査において、設備がネックとなることはありません。

また、業者から、発売前の新しい機械を借りて試すこともあります。

 

飼い主が積極的

1次病院でよく経験するのは、飼い主が費用や、高齢だからという理由で積極的な治療を諦めることがあります。

悪いことではありません。

積極的な治療が全ての飼い主、ペットにとってベストかどうかは別です。

ベターな治療法があっても良いのです。

しかし、獣医師が成長するのは、積極的な治療をする場合です。

大学病院までくる飼い主であれば、最も積極的で最新の治療をさせてもらえることが多いです。

 

獣医師が研修医として動物病院で働くデメリット

今まではメリットをお話ししていましたが、こっからはデメリットです。

しかし、大したデメリットではありませんし、これを超えるだけのメリットはあると思います。

これらのデメリットを無視できるほどの価値はあると思っています。

拘束時間が長い

臨床で働く以上、避けては通れない問題ですが、朝の8時から遅いと日を跨ぐこともあります。

また、緊急のペットがくると、夜中まで手術をしたり、手術をした後も、状態が悪い子が大学には集まるので

術後の管理で遅くまでモニターといて見張を交代でしたりすることもあります、

また、大学なので、基本的には土日は休みですが、自分が担当の子が入院していると世話をしたり、上記のモニターが

土日まで伸びることもあります。

そして、土日も完全にオフではなくセミナーの準備や論文を読んだりと何かと追われています。

給料が安い

下記は獣医の雑誌の切り抜きですが、上記のように拘束時間が長くても、おおよそ20万円前後です。

6年間も勉強して、国家資格も取ったのに、安過ぎると思うかもしれません。

しかも拘束時間も長く、責任も重く激務です。

しかし、大学病院を希望する獣医師は、収入メインではなく、勉強がしたいからくる人がほとんどで、収入はあまり重要視していません。

なおかつ、以前はむしろ研修医がお金を払って、勉強させてくださいというスタンスで、受け入れていたようです。

それと比べると、お金をもらいながら勉強できるって非常にいい環境だと思いませんか?

おそらく他の大学でも同じくらいですし、私がいた東京大学では15万円前後でした。

しかし、お金には変えられない価値がありますし、大学要員を経験していると、その後の病院勤務で高収入を提示されることも多いです。

大学病院という名に助けられる

これは慣れてきたときに感じることとなります。

例えば大学病院で血液検査を失敗するとします。

そうすると、多くの飼い主は大学病院だから仕方ないとなります。

これは間違いなく同じ失敗であっても、一般の病院よりかは批判は少ないです。

それに甘んじてはいけません。

しかし、大学という名前に守られているということは感じると思います。

一次病院で、とある病気でもう手はないです。と言われるのと、

大学病院で言われるのとでは意味は違いますし、飼い主の受け入れも変わってきます。

ですので、大学という特性上、その名前に守られているというのを意識して、仕事をしなければいけません。

 

まとめ

上記が私が選んだ理由と、実際に働いて学んだメリットとデメリットです。

デメリットも書きましたが、メリットに比べれば些細なことです。

悩まれている方は是非大学病院を経験することをおすすめします!

 

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